■議案質疑 平成14年9月
19番議員野口修君。
19番野口から質疑いたします。初めに、94号の条例設置の経過についてお伺いしたんですが、これは茎崎町にあ
る既存の条例だということで、それをつくば市が継続してやるということで、これについてはわかりましたので答
弁は結構です。
報告第15号の都市振興財団の報告書ですけれども、私、文厚で所管なのですが、委員会の方には回らないとい
うことで本会議で質疑を出しました。報告書をいただいたのですけれども、例年のような報告書ではありますが
、そろそろ事業評価というものをしっかりと加えた報告書にしてほしいなと思いながら質問を考えてみました。
私は都市振興財団のやっている事業、国際交流、それから、芸術文化事業、市民文化への助成等の事業はかな
り評価しています。評価しているのですけれども、果たして事務方はどのような評価をしているのか、それが気
になっています。というのは、いいものをやっていても、それが市民文化として評価されない限りはだめなわけ
で、芸術と市民文化をごっちゃに考えてもまただめなわけで、しかし、芸術は市民文化を育てなければならない
わけで、その状況が余りうまくいっていないと感じます。大きな予算をいただきながらやっているわけなので、
もう少し事務方がサポートするなりしないといけないかなと思っております。そういうわけで、事務方としては
事業評価をどう考えているのかをお聞きします。
それから、ノバホールの利用が低下しているようですが、対策の考えはと書きましたけれども、ここ四、五年
のノバホールの入場者、それから、企画等を見せていただきましたならば、それほど低下していないのです。68
%ぐらいの稼働率で、稼働率としては公共団体が持っているホールとしてはかなり上の方です。ですから評価し
ていいのですけれども、低下しているように感じるのは、ノバホールというものが、80年代後半は磯崎新さん
がつくったノバホール、そしてクラシック専門のホールとして日本国じゅうに名前が知れわたっていました。
そういうわけで、ノバホールに来るということが、ある程度ステータスになっていたわけですけれども、最近は
いろいろなホールができまして、そうではない。ですから、ノバホールというものがただの貸ホールでなくて、
政策的にどうするかということを考えなければならない時期に来ているのではないかと思いまして、対策等を考
えてほしいなということをお願いしようかと思っているのです。
それから、先ほども言ったように、市民文化にもう少しなっていいはずなのになっていないということは、催
し物の広報がうまくいっていないのではないかと思っています。昨年度の事業を見ますと、満杯になっていると
ころがかなりある。しかし満杯になっていても、そこで一体何をしたのかということが大事なので、新聞等に載
るとか、あるいはその後のフォローをどうするとか、そういうことがしっかりできていない。それはやはり事務
方の状況が余りかんばしくないのではないかと、それを今の都市振興財団にいる事務方に要求しても非常に難し
いのではないかと思っております。ですからその辺で、最後に書いてありますけれども、学芸員等を考える必要
が出てきているのではないかと思っております。
そういうものをしっかりすれば、これだけの催し物をやっているので、補助金だけではなくて企業あるいは国、
そういうところから、企画をつくり上げて予算を持ってくるということが可能ではないかと思っています。
予算書を見ますと、企業のメセナ的なところからもらっていない。これは企画そのものと比較するとかなりの
落差があります。あれだけの企画をやっていれば、ある程度企業あるいは国、その辺から注目されていいわけで
あって、それを政策として立ち上げれば、企業のメセナは十分とれると思います。そういうことができていない
ということは、財団の中にそういうものを立ち上げる人材がいないということのように思います。その辺はどう
なっているのかお聞きしたい。
美術系の事業があるのですけれども、それが市民補助企画になっています。そういうことではなくて、美術系
の企画でかなりしっかりしたものをやっているので、それは財団の事業としてしっかり立ち上げていかなければ
ならないのではないかと思っています。文化事業は、一言で言っても難しいのですけれども、1970年ぐらいまで
は文化事業といっても、大体どこの自治体でも教育委員会が所管でした。いわゆる文化庁直轄の事業、そしてそ
こがつくってくる催し物を選択するという事業をやってきていました。ところが、地方の時代とか地方の文化と
かが1970年代言われるようになりまして、各自治体も考えて、首長、例えばつくば市だったならつくば市の教育
委員会ではなくて市長部局の方に移していった。1997年の資料ですけれども、大体6対4ぐらいで市長部局に文
化事業が移っています。
つくば市の場合は、民意が大きかったということと、あるいは一村一文化のときに財団をつくっていったとい
うことがありますので、市長部局と財団をつくって、もう一歩進んだことをやっているということであります。
ですから、昨年12月に芸術振興基本法ができましたけれども、つくば市の場合は5年ほど他の自治体より進ん
でいると思います。今、国の審議会等で芸術基本法に沿って基本計画を立てていると思います。
それが来年度できて、全自治体に通達されます。そうしたときに、用意ドンで多分いろいろなものが始まると思
います。ところが、つくば市の場合は5年ほどリードしているんだなということを考えてやっていただければと
思います。そういうことで、もう少し文化事業というものを政策として考えられるように、そろそろなるべきだ
なと思っています。いわゆるまちづくり、あるいは地域経済とどういうふうに結びつけるか、そういうことも政
策として立ち上げて、文化事業をどうするかということを考えていかなければならない。そのような時代になっ
ていると思いますので、その辺を考えながら質問等をしましたので、お答えください。
武石市民環境部長
お答えいたします。
事業評価はいかがですかという件でございますが、財団法人つくば都市振興財団は、民法第34条の規定により
平成3年3月25日に設立許可を受け、同年4月1日から業務を開始しております。設立の目的は、筑波研究学園
都市の振興発展を目指して、地域情報の収集提供や芸術文化の振興活動、さらに在住外国人に対する支援活動を
行うことにより、住民の豊かで魅力ある都市生活の向上に寄与することを目的としております。
特に芸術文化活動の振興事業につきましては、財団がつくば国際文化都市フォーラム設置要綱、つくば都市振
興財団つくば舞台芸術監督設置要綱、つくば都市振興財団つくば舞台芸術企画調整会議設置要綱を定め、事業の
推進に努めているところでございます。
昨年、国において文化芸術振興基本法が施行され、文化芸術活動への法的支援が充実されました。平成13年度
の芸術文化事業への参加数は増加の傾向にございます。
今後は、芸術文化事業に対する職員養成に努めつつ、つくば市の文化芸術振興と国県等の施策を的確に反映で
きる体制強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目のノバホールの利用が低下しているようですが、対策等の考えはということでございますが、ノ
バホールの利用状況につきましては、演奏会、音楽発表、舞踏、講演講習等を中心に、低年齢者から高齢者まで
広い分野の方々にご利用をいただいております。最近の社会情勢や近年同種の施設が建設されるなど、利用者低
下につながる要因はありますが、平成13年度の利用状況は、使用日数188日、使用者数210の団体、使用回数4
34回、使用率63.3%、入場者数が7万3,362人で、ここ数年横ばいの現状でもございます。
今後も催し物案内、空き日利用等の広報に努め、他の先進自治体等の事例を参考に、より適切な運営を図り、
芸術文化活動の向上に寄与してまいりたいと考えております。
次に、3点目の催し物の広報についてはどのようにされているかの点でございますが、財団法人つくば都市振
興財団の催し物の広報については、年間スケジュールを毎年6月に新聞折り込みで各世帯に配布しているととも
に、財団の情報紙「フォルム」を年4回発行し、基本的告知に努めるとともに、各公演のチラシやポスターを市
内外の公共施設に配布、掲示依頼を行って、市民に対する告知を図っているところでございます。
また、記者クラブ等メディア向けの情報提供も実施し、財団ホームページの情報掲載とともに広く提供を行っ
ております。
今後は、記者発表など念頭に置き、先進地の事例を参考に広報活動を実施するよう、財団と協議をしてまいり
たいと考えております。
4点目の、つくば市以外からの助成金についてでございますが、財団法人つくば都市振興財団では芸術文化振
興策の一環として、つくば市以外のさまざまな助成金、ネットワーク事業等を利用して事業財源の軽減化を図り、
芸術文化事業を推進しております。
平成12年度から文化庁の芸術文化振興基金や財団法人自治総合センターの宝くじ文化公演、同じく財団の地域
創造の助成金を積極的に採用し、芸術文化事業を実施しているところです。財団では今後も引き続き従来の助成
金等を可能な限り活用すると同時に、さらに情報を先取りする形で、新たな公的助成や企業からの助成、協賛等
を取りつけ事業推進に当たるとの考えでございます。
5点目の、芸術系の事業の選択方法についてでございますが、現在、つくば市、財団法人つくば都市振興財団
の主催で、共催団体による企画運営によりまして、毎年2企画の美術展をつくば美術館にて実施しておりま
す。昨年度は拡兆する美術展と茨城県南彫刻家展を実施し、本年度はつくば版画家展と現代美術の磁場展の開催
を予定しております。
今後も市民、作家、専門家、市、財団を交えての美術に関する懇話会の設立を検討し、実施、運営に対処して
まいりたいと考えております。
6点目の、学芸員の必要性はどのように考えているかの件でございますが、美術に関しての学芸員の必要性に
つきましては、十二分に認識しているところでございます。
つくば市民からは、市民ギャラリー等のハード面での整備が要望される中では、企画、展示ばかりでなく、美
術分野での教育普及やアウトリーチ活動を重視していく必要があります。その意味において学芸員は必要不可欠
な要素であり、採用等についても検討していきたいと考えております。
■野口修
ありがとうございました。大体わかりました。
まず、私が政策として立ち上げていってほしいということは、国が芸術基本法を昨年施行したというのは、国
が進んでいるわけではないのであって、地方がそういうものをつくらせたと言っても過言ではないと思っていま
す。
一体それはどういうことかということを考えて政策に立ち上げていかないと、一体何をやっているのかわから
なくなってしまうのではないかと。いわゆる今のグローバル化する状況の中で、少年犯罪やそういうものがふえ
ていく中でどう人々の生活をとらえ直していくか、そういうことを芸術面でやっていけないか、早い話そういう
ことだと思います。地方ではそれをいち早く感づいてやっている自治体はかなりあります。先ほど先進地等と言
いましたけれども、つくば市は先進地ですから、倣うところは余りないと思います。ですから、どうしていくか
ということは、自分たちで考えなければならない状況に来ていると思うのですよ。多分先進地と言われると、水
戸市とか、あるいは仙台市、東京の世田谷区とか、そういう特定のところになってくると思います。そして、あ
とは県がやっているような彩の国さいたま芸術劇場や静岡の劇場になってくると思うので、ある程度最先端にい
るということを認識してほしいなと思っております。
しかし、その認識がないということは、芸術監督のキャラクターに頼り過ぎているのではないかと思います。
芸術監督がいなくなったらまた元に戻ってしまうような状況では、一体何をやっていたのかということになります
ので、そうではなくて、市民文化として育てていくということを事務方と一緒にやっていかなければならないわ
けです。芸術監督は今非常勤ですので、そのキャラクターを事務方が生かして、そして地域と結びつけていく
ということをやっていかない限り地域文化は育たないと思っていますので、よろしく、その辺も検討をお願い
します。
それから、広報がしっかりいけば、もう少し事務方もしっかりしてくると思います。なぜかと言うと、広報が
うまくいけば外の注目度も違ってきます。ですからしっかりしなければならないわけです。自分たちがやってい
ることをしっかり認識できないから広報ができない、ということも言えると思います。もう少し事務方の補強を
していかないといけないかなと感じて、学芸員の必要性があるのではないかなと思っています。
何度か市長にお話しましたけれども、市長は今の職員で何とか職員を育ててやっていきたいと、そのお気持ち
は十分わかります。しかし、今かなりのいいものをやっているので、事務方が追いつかない状況になっていると
いうことはあると思うのです。ですから、もう少し学芸員の補充、あるいは民間から専門家を入れるなりしてい
ったほうがいいかなと思っております。
問題は、芸術文化の政策です、政策として立ち上げていくと。今は鑑賞や、あるいはそこに行った人の反応と
か状況が、それが時間がたてば一つの大きな市民文化になってくると思うのですけれども、もう少し市民文化を
育てていくような状況をどうしたらいいかということを、芸術監督を交えながら事務方でやっていくような状況
をつくらないといけないかなと。
あと、美術系ですけれども、先ほども言ったように、今、市民企画補助の企画という形になっています。そう
ではなくて、しっかりと財団の企画として立ち上げていくような状況が望ましいのではないかと思っています。
それにもやはり人材等が必要なのではないかと。非常勤でもいいですし、あるいは先ほど部長がお答えしました
懇談会みたいのをつくってやっていくみたいな、そういう市民参加をしながらやっていくことも一つの方法かも
しれません。
今このような経済状況の中でなぜノバホールが息づいているかというと、それは育ててきたということと、つ
くば市近辺にはそれだけの民意があるということですよね。民意はあるのですけれども、評価がしっかりできて
いない。例えばノバホールの人に聞いても、うちは貸し館ですからという状況であると。それでは一体何をやっ
ているのかわからない。そういう状況ではなくて、ノバホールの館長であれば、ノバホールというはどういうも
か位置づけて、そしてしっかり文化事業に取り組んでいかなけれはならないと思っているのです。
私は、21世紀を支えていくためには、芸術文化が法的にも整備されるということはどういうことかということ
をしっかりと考えていかないと、大変おくれてしまうと思います。例えば、70年代に文化行政が教育委員会の管
轄から市長管轄になったと、地域文化等をいわれました。しかし80年代は地域から文化を発信していこうとか、
そういうことがムーブメントになりまして、一村一文化みたいな形になったと思います。しかし、そのムーブメ
ントが形にできたところと、形にできていないところでは大きな差があるのです。そして、形にできなかったと
ころはどうなったかというと、経済的なところに飲み込まれて劇場もバブルになって、劇場を建ててその返済で
困っているような状況がたくさんあります。そうではなくて、恵まれた地域ではありますから、それをしっかり
と事務方は考えてやっていってほしいなと思います。
その辺で市長にお伺いしますけれども、学芸員の必要性が出てきたのではないかと思うのですが、いかがでし
ょうか。
藤澤市長
前にも答弁を申し上げていると思いますけれども、学芸員は必要であると思います。ただ、財団に学芸員を置くということにつきましては、資金面のことがございますし、それなりに財団の職員は一生懸命やっておるわけです。したがいまして、市長部局の方の職員の文化に対しての思い入れというか、そういうものをもっと熟成していかなければいけない。そういう意味での学芸員は必要なのではなかろうかと。これは美術系、音楽系、いろいろあろうかと思いますけれども、ぜひ市にそうした人を採用しながら、財団あるいはカピオの職員と一体となってつくば市の芸術文化の振興をしていくべきであろうと、そんな思いをいたしております。
ただ、先ほど部長が1万1,900何人かの参加がふえたというようなことを申し上げましたが、当初から比べる
と3倍ぐらいの一般の皆様方が参加をしていると。それから、市民オーケストラができた、さあ今度は市民オー
ケストラを小学生に聞かせよう、あるいは文化の交流も、つくば市のご婦人の皆様方が韓国に出向いて日本の茶
道あるいは華道を演じてみせると、そのことがマスコミに、台湾のメディアに大きく取り上げられていたと。こ
れは参加をした方々にとって大きな自信になったのではなかろうか、そんな思いをいたしております。
また子供たちも、財団が協力して韓国の方にサッカーチームを送り込んだ、あるいは青年会議所の事業として
韓国からサッカー少年団を迎え入れた、こういうことで国際交流につきましても大きくさま変わりをしつつある
と思っております。ただ外国に出向く、あるいは外国から来る、これだけが国際交流ではないと思いますし、市
内には6,700人、あるいは人口の1割近く住んでおられるのではなかろうかとも思いますので、そうした方々と
市民の皆様方が活発に交流できるような、そんな場を財団、市の国際交流室、そういうところと協力し合ってい
く体制を強くしていかなければいけないと思っております。
■野口修
どうもありがとうございました。
芸術文化は、広い意味で福祉ということもあると思いますので、その辺をしっかりとフォローしていってほし
いなと思います。
先ほど部長の答弁で、補助金をいただいているという話ですけれども、多分決算書等にはその名称も載ってい
ないので、決算書に載れるような状況ではないのではないかと。私が申しておりますのは、1,000万円、2,000
万円単位の補助金をもらえるような、そういう事業をしていかないといけないのではないかと思っているのです
よ。国からもらうということもできますし、あるいはメセナということもあると思います。それだけのことをし
ていると思うのですよ。
つくば市には10年前からある企業がコンサートを企画していますね。あれはメセナで事業費は2,000万円です
ね。一企業が2,000万円つくば市に投資していると、それと一緒に新聞に一面広告を出していると。そういうふ
うに、付加価値があるということが立証されているわけです、そういうこともありますので、もう少し事務方
はしっかりしてほしいなと。
市民参加の方ですけれども、もう少し市民参加ができてもいいのではないかと。カピオフェスティバルとかや
っていますけれども、今年度は参加グループが減っていますよね。一体それはどういうことなのかなということ
を考えていかないと、別に芸術グループが減っているわけではないですよ、ふえているのですよ。しかし、カピ
オフェスティバルに出演しているグループは減っている。それは一体どういうことかなと。それは、カピオフェ
スティバルでなくて違うところでやったほうが、多分そのグループにとってはプラスになるのだろうと。ではカ
ピオフェスティバルは一体何なんなのだと、そういうことを考えていかないといけないのではないか。そういった意味では、もっと率先して市民参加をいかに立ち上げていくかをやっていかなければならない。
舞台芸術監督がいらっしゃって、ワークショップをやって、小作品を発表していますけれども、毎年出ている
人がいるのかもしれませんが、去年あたりからかなりレベルが上がっていますね。市民の催し物とは思えないぐ
らいの状況になっています。そういうものもあるのですけれども、そこに参加した人と、そこに来た四、五十人
のお客しかわからないのですよ、やっていることが。やっていることはすばらしいのに、そういう状況では市民
文化としては育たない。いいものがあっても育たない。その辺をしっかりと考えていってほしいなと、そのた
めには学芸員等の必要性があるということを述べまして、質問を終わります。
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