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OldなJazzのルーズな日々


2006-01-04 音楽

Kansas City Jazz kansas

ページも内容も値段もヘビーです。Ross Russell著 原題 Jazz Style In Kansas City And The Southwestで「カンサスシティとアメリカ西南部のJAZZスタイル」とかいう意味になるでしょうか。邦題は分かりやすく書いてますが内容は1920-1940年初頭にかけてのカンサスとその近傍であるアメリカ西南部のJAZZ様式の歴史について解説した書籍です。人名/地名/曲名など山ほど入ってまして、内容を理解するには1920-40年始めまでの音源を一通り聴いておかないと読んでいて全く意味不明です。 原著は1971年発刊、日本語版は1993年となってます。決して新しい本ではないですが、発刊当初は1920-30年代の音楽などろくに復刻されてない、なまじ版権の関係で復刻したくても出来ない時代ですね。もしその頃日本で訳本が出ても先ず何の事やら誰にも理解出来なかったと思います。1993年はアメリカで古いSPのCD復刻が増えて来た頃ですが、日本ではインターネット以前のパソコン通信時代、日本のパソコン界が世界で一番遅れを取っていた石器時代でもあります。この時分に出版してもはやり日本では情報不足で分け分からんだったでしょう。Amazonだって無い時代だし。 非常に長いので少しずつ紹介するしかありません。ターゲットとなっているのがミズーリ州カンサスとその周辺の都市の黒人音楽で、地域的にもアメリカの大都会からやや切り離された地域です。その地域で禁酒法時代、禁酒法を無視した独立地方都市カンサスを中心として初期のJAZZの一大文化圏が存在した。そこから原題のModernにつながるJazzの流れが発生した、という事を当時の音源/文献、とまだ存命であったミュージシャンたちへのインタビュー等で構成、解説しています。 著者はダイアルレコードの創設者で、パーカーのマネージャをやったくらいの人です。原書発刊の1971年ですが当然資料の整理等考えて60年代終わりから書き始めたと思います。その頃といえばコルトレーンが丁度亡くなるあたり、マイルスはエレクトリックを始めています。ベトナム戦争真ただ中。アメリカとしては文化的にも政治的にも明るい時代ではないですね。そういう時代に書かれた本だと考えねばなりません。時代背景から言って相当にバイアスかかってます。Modern,Bopを殊更に擁護している、または擁護したがっている様です。実際に読んで行くと、話しの流れでいきなり時代が10年から20年飛んだり、大恐慌前/後、禁酒法時代/解除後、では事情は全く違うはずなのに両時代がごっちゃに話題に書かれたり注意が必要だと思います。またこの著者ほど事細かにカンサスを中心に調べた人は70年時点でいなかったし、その後もいない(らしい)。OldJazz全般を聴きまくったり、ミュージシャンに関しての逸話を集めた人もあまりいなかった。古いレコードを手に入れるのに民家を尋ねて物置の中の古いレコードを譲って貰いに歩いたくらいで、その時点で本当に十分に音源が収集出来たのかやや疑問。またこの人の書いた物がおそらく原典としてあちこちで引用されてきたであろう事です。 それらが現在のJazz一般の知識ベースになっているのではないかなという点です。これは追々確かめて行きたいと思います。リンク→ カンザス・シティ・ジャズ
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