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OldなJazzのルーズな日々


2006-01-12 音楽

考察:楽器編成

Jazzに限らず音楽全般見渡すと、楽器や楽器編成が音楽を作って、音楽が楽器と楽器編成を決めるという相乗効果で音楽が変化して来た経緯がある様です。例えばNew OrleansスタイルのOld Jazz時代は3-4リズムに3管くらいが加わった7−8人編成がスタンダードでしょう。

別な話で、「人間は一度に7つを越える事柄を理解するのは困難である」という話があります。7桁の数字は簡単に覚えられるけれど8桁になるといきなり記憶出来なくなるとか、一週間が7日なのは8日では日程の把握が出来ないからだとか。人を集めてチームを組むにもはやり10人を超えると意思の疎通がやり難くなるのでチームの人数は7−8人が丁度よいかと思います。

それでバンドですがNew Orleansスタイルの集団即興という「誰彼が好き勝手に音を出す」という状況では、自分の音と他メンバーの出している音をリアルタイムに把握しなければなりません。これが可能な限界が最大で7−8人で、丁度よい編成になるのではないかと思われます。それで次に中身ですがリズムセクションとメロディセクションの数では、リズム1+メロ7では今度は音楽的にバランスが悪い。リズムの他に音楽の流れを作らなければならないのでコード楽器も必要でコード楽器はある程度リズムの役割が出来るので、いろいろバランス取って試行錯誤もあったでしょう。あの人数になったのは理にかなっているのかと思われます。また編成の中身なのですが、どうも楽器編成も、お料理と同じで「何でも混ぜりゃいいってもんじゃない」のだと思えます。音色/音域等、適当に変化があってお互い良く馴染んでかつ持ち味を壊さない様な組み合わせは、実はそれほどバリエーションは無いものと考えられます。

時代が変わって音楽のコンセプトとそれに合った編成も演奏の現場が大きなダンスホールなどになって行くと、必然的に人数を増やさなければならなくなりアレンジメントが必須となります。編成を大きくするにもこれまた何でも楽器を増やせばよい分けではなくて、作られる音楽もその編成を生かす形に変化をして行ったものと考えられます。その辺の動きが1920年代の終わり位からかと、その時期からJazzはSwingに近くなり平行してCollective Improvisationのコンセプトが遠ざかって行った様で、それはそれでさみしかった(当時のMusicianも)のではないかと推測しています。Henry Red AllenやClarence Willamsなど、サッチモとほぼ同時代ですが、編成の大きなBandへは走らずに結構地味に小編成のNew Orleans Styleの編成の音楽を残しています。Collective Improvisationを残しながらSwingには行かなかったのか?というと、これはPAシステムの無い時代だったので、音量の問題からその方向へは行けなかったのではないかなと、推測します。それではCollective ImprovisationのスタイルでかつSwingする音楽はあったのか?これが後の1940年代半ば頃のR&BやJump Bluesに当たると思われます。この時代は戦争もあったりBigBandな派手派手な音楽は営業上立ち行かず、必然的に規模が小さくなったわけでしょうが、その事が逆にCollective Improvisationの性質も復活させた(それを除いたら貧弱なバンドミュージックにしかならなかったろう)のだと考えます。

残念ながらその時代は日本も混乱していたりしてリアルタイムには音楽が聴けません。後にJazzが日本に広まった時には、この時代はBopの創世記としてしか捉えられず歴史的にも重要で楽しいJazz Musicがあった事すら、Jazz屋にも全く無視されてしまったというのが現状だと考えられるわけです。

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