トップ «前の日記(2006-05-10) 最新 次の日記(2006-05-14)» 編集

OldなJazzのルーズな日々


2006-05-12

アメリカ黒人の歴史 blackhistory

岩波新書。

Jazzやってんだからアメリカ黒人の歴史は知っておくべきだよね、、、と、学生の頃は読んていたけれどその頃と比べて新しい事実も見つかっているだろうし、昔読んだ本は「黒人=奴隷」とあまりにも単純化し過ぎで現在のアメリカやJazz/Bluesの歴史からみても不正確ではなかったかと思われて読んでみる事にしました。初版発刊が1965年で1991年に改訂されたそうです。記述しては新しい事実なども加えられ改訂されているそうです。

最初にアメリカに黒人奴隷が運ばれたと記録されているのが1619年、、、随分昔。それから現代までの歴史を新書判250ページの書籍で全部記述するのは無理がある様ですが、一応かいつまんで。

当初運ばれた黒人は奴隷というものの年期奉公人みたいな立場であったそうですが、アメリカの開拓が進んで大規模農場の運営が始まるにつれて特にアメリカ南部に多量に導入され同時に地位も下げられて行ったという経緯が先ずあります。以降、要はアメリカの経済的な理由で黒人の立場は向上したり下げられたり、尊敬されたり蔑まれたりの繰り返しであった。と。

イギリスからの独立戦争の折には戦闘要員として奴隷の身分から解放された黒人が多数いて、一時奴隷制度は無くなるであろうとまで考えられていた時期もあった。けれど独立して経済権をアメリカが持って綿花栽培が主産業になるとそれに応じて再度労働要員として奴隷制度が復活したとか。南北戦争で南部諸州の力を押さえる為にリンカーンが奴隷解放を打ち出したのは知られていますが、リンカーンが暗殺された後また差別がひどくなるとか。。。まぁ複雑。とにかく一筋縄では行きません。もっと文献調べます。

それにしてもJazzやっててアメリカ黒人の歴史を調べようとかいう話、聞いた事ないし、そもそも興味無い知ろうともしない奴が多いのは変だよね。

本日のツッコミ(全8件) [ツッコミを入れる]
さかいり@鳴り物 (2006-05-19 16:27)

本田創造氏の新書は私も持っていますが、旧版でした。
実は大学での専攻が黒人解放運動だったので、この手の通史はあと何冊か手元にあります。一般的なところでは猿谷要氏の文献は、一応日本ではオーソリティとなっていますが、正直言って書かれた時代のモードによって視点がばらつくので、これが良いよ、というお勧めはないですね。

ためすけ (2006-05-20 00:27)

さかいりさんって、そ、そういう専攻だったんだぁ。知りませんでした。今度お話し聞かせて下さい。「猿谷要」さんですか。参考にさせて頂きます。しかし、これぞ、といった文献って無いものですか・・・やっぱ難しい事柄なのでしょうか。

さかいり@鳴り物 (2006-05-20 01:06)

はい。実はそうなんです。けっこうオタク度高いッス。
私の専攻は、1920年代の"Back to Africa"運動ってやつで、この運動は本当にアフリカ(リベリア)に黒人を送り込んだりしてますが、実は合衆国の通史ではあだ花的事象として扱われてきたものなんです。ところが、この運動、エンクルマに影響を与えていたり、マルコムXの父親が関わっていたり、実はジャマイカのラスタの原型だったりしまして、合衆国以外の視線で見ると面白い。
また、リンカーンは数回に渡って奴隷解放令を出していますが、その前段として、当時の合衆国政府に解放民局という部局が作られています。
これって、解放した奴隷をアフリカに戻すためのもので、それで出来たのがリベリアだったりして、実は現地の住民を奴隷化して、その支配層として解放奴隷を送り込んだ、というアイロニー。
この手の話が、黒人の歴史にはごろごろしています。
難しい、というより、合衆国の名のもとに統合していく、という合衆国の建国理念にとらわれると、ちょっと見えない話が多くなる、ってことでしょう。
いい機会なので、私もちょっと文献拾ってみますよ。

ためすけ (2006-05-20 11:15)

アフリカへ帰ろう(帰そう?)運動のについてもありました。1920年代のアメリカはバブル時代でRaceRecordsの全盛でもあった時代に・・・と考えると、なんなんだ?という感じを持ってしまいます。同時に当時のクレオールの人々とか、複雑そうなので追々調べていきます。

さかいり@鳴り物 (2006-05-20 18:10)

すいません。この話題になると私は一気にオタク化いたします。
その時期、ハレム・ルネッサンスとか二グロ・ルネッサンスとか呼ばれる運動?が始まっていますが、その主体となったのが西インド諸島出身の黒人移民で、彼らはまた政治的にも急進化する傾向があり、アフリカ帰還運動はその一部と言えます。
また、その運動体が、黒人による黒人のための企業、として、Black Star Lineという汽船会社を筆頭とする企業グループを起こし、その傘下にはレコード会社もあったようです。Race Recordsとの関連までは調べてませんが、今度実家に行った時にでも資料あさってみようかな。

koshu (2006-05-20 21:38)

とても興味深い内容ですね。外野席から観戦させて頂いております。

ためすけ (2006-05-20 23:02)

大変興味深いです。1920年代はJazz,Bluesの成り立ちからみて重要な時代でもあるので、その時期の黒人を取り巻く社会背景と音楽は無関係ではないでしょう。単にアメリカがバブルで景気が良かったから黒人も豊かだったとか、単純な話ではなさそう・・・コメントではカバーしきれなくなりそうなので別ページとか立てた方がよいかな。

Marcel (2014-05-28 08:06)

At last some ratnliaoity in our little debate.

お名前:
E-mail:
コメント:

2005|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|08|10|11|12|
2011|07|08|11|12|
2012|02|06|07|10|
2013|05|

文責:ためすけ後藤 [マイ・ストア] [ Amazon Jazz ] [ JUMP-Blues ]
[] []