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OldなJazzのルーズな日々


2006-12-07 音楽

EARLY JAZZ - It Roots and Musical Development earlyjazz

ガンサー・シェーラー Gunther Schekllerの著作。Jazzの起源から初期のJazz(1930年まで)を解説した研究書。これまたヘビーでコアな本です。500page以上あります。まだ半分くらいしか読めてません。原書発刊は1967年で、日本語版は1996年。その間約30年、、、日本への紹介は遅いですね。。。値段も定価はヘビーですがこれも、古本で入手。

著者はBirth Of CoolでMilesと共演した生粋のプレイヤで、BigBand活動やら音楽院の学院長、出版社、レコードレーベルなど手がけたというとてつもなく多彩な人です。

内容は先ずJazzの起源としてアフリカの民族音楽を取り上げそのポリフォニックな構成とリズム・形式・和声・旋律・音色・即興等の要素をJazz,Bluea、Ragtimeの音楽と比較して相違点・共通点について実際の演奏を譜面化して解説しています。次に実際に音源として残っているレコードと1900年代初頭のエピソードから当時の世相と音楽、特にKing OliverとLouis Armstrongの音楽を取り上げています。この辺は何だか油井正一氏の著作みたいです。

次に最初の偉大なソロイストとして再度Louis Armstrongの演奏をKing Oliverと分かれてから1931年頃までの演奏について譜面付きで解析しています。良い演奏、マズい演奏も何処が良いのか、また悪いのか等を逐一フレーズを検証しているのが面白いです。

次の章で最初の偉大な作曲家としてJelly Roll Mortonを取り上げてこれも楽曲ごとに細かく分析をして行きます。Mortonの昔話なども面白いです。ただ内容は同じく油井正一著作と似通っています。この辺はリソースが一緒なのでしょうね。

次章からはArmstrong,Mortonらを除いた当時のプレイヤをこれまた音楽性や生い立ちまで検証しながら解説を入れて行きます。取り上げられているのは ODJB,Bix Biderbeck,Sidney Bechet,Johny Dodds,Jimmy Noon,James P Johnson,Wats Waller,Kid Ory,Freddie Keppard,Bessie Smith,など。

この後に初期のBigBand,と一章を割いてDuke Ellington、付録でGeroge Morisonのインタビュー等が続きますがまだ良く読んでいません。引き続き読んでいきます。

多岐に渡りまして、音源も1920-30年代の録音を脇に置いて聴きながらでないと何書いているか分からん部分も多々あります。

気付いた処から、読んでいて自分で考えたと同じ様な記述がありました。"Blake Out Of New Orleans"シリーズのSam MorganやKid Oryのバンドの演奏はやはり「伝統的なNew Orleansの音楽」でSPレコードが出た頃には忘れ去られていたものが奇跡的に残った貴重な録音であるとあります。

またJohny Doddsを「Bluesの人」としていました。明らかにLouis とは違うスタイルのプレイヤである事、Louisがリーダーで無いときの方がリラックスして良い演奏である事など。(ただLilのピアノはつまらんと言ってますな。)

著者は現役の演奏家であるからでしょう、Jazzは発展するもの、または発展するからJazzなんだというコンセプトであります。Bluesの特質は認めていますがJazzとは違う音楽だという立場の様ですね。Clarence Williamsもちょと名前が出て来ますが取るに足らないと言わんばかり。Biderbeckに注目してPaul Whitemanも取り上げておきながらTrumbauerについて殆ど書いてないのはアンバランスだと思います。Blue Noteについても他の著作と同じく解釈を試みてはいますが、平均律からの解釈なので結局「よく分からん」で終わってます。アフリカまで遡っていてなんで自然音階の側面を見ないのかナゾーなんですが、まあ、この辺がModern ですね。

全般には油井氏の著作の裏付けと詳細を綿密に検証している様な内容です。というか、こちらの方が原典に近いので元になっている?のかとも思えますが、これが1967年という時点での視点で、これがJazz史の原典として参照され続けているとすると未だ突っ込み不足と考えられます。まあそれでもOld Jazzについてはかなり詳しいので手に入ったら読んで見る事をお勧めします。→Early Jazz

この続刊で1930年〜1945年までのSwingを解析した著作もあるそうですが、邦訳はされていません。こちらはこちらでまた面白そうですが。

ふほう

後付けだけれどJayMcshannが亡くなりました。好きなartistだったのですが。

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